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誰か (文春文庫 み 17-6)

誰か (文春文庫 み 17-6)
宮部 みゆき
誰か (文春文庫 み 17-6)
定価: ¥ 680
販売価格: ¥ 680
人気ランキング: 1216位
おすすめ度:
発売日: 2007-12-06
発売元: 文藝春秋
発送可能時期: 通常24時間以内に発送

人情派推理小説?
ミステリー小説としてはあまり面白くなかった。自転車によるひき逃げ事件という最近の社会問題を題材にはしているが、概ね登場人物が善人ばかりで暗さがなく、人間と人間のつながりや他者への思いやりなどの重要さを説教されている感じがした。主人公である杉村三郎は実在したら魅力的な人物だと思うが、妻子との会話はストーリーに直接関係ないし、かなりうっとうしい。結末も意外性がなく、人情派推理小説という印象だ。

一見凡庸な探偵役が魅力的。サスペンスフルじゃなさすぎなところもいい。
自転車にはねられ、梶田という男が死んだ。犯人は逃げ去る。
死んだ梶田は、大財閥・今多コンツェルンの会長の運転手だった。
梶田運転手の妻は既に他界していたが、32歳と22歳の娘たちが遺されてしまう。
結婚を目前にひかえた控えめな長女・聡美と、明るく奔放な次女・梨子。
姉妹は、大切な父の人生を、本として出版したいと言い出した。
それを知った今多会長は、姉妹が本を出すための相談相手として、
娘婿の杉村(35歳・この物語の主人公)を選ぶ。
杉村は、もともと小さな出版社で児童書の編集をしていたが、
今多会長の娘と結婚したことをきっかけに、コンツェルン内の
広報雑誌を作る部署に勤めるようになっていた。
そんな杉村が姉妹に会って話を聞くと、妹は早く本を出して
父をはねた犯人を見つけたいと意気込んでいるが、姉のほうは
ある理由からためらっている。姉妹の2人の温度差が気になる杉村は・・・

宮部みゆきの書き下ろしミステリーが文庫化、ということで
書店にずらーっと並んでおりました。一人一人の脇役までディテールを
丁寧に描きこむ宮部さんの書き方になじむまでは、かなり読んでいて
時間がかかるしエンジンがかからない感じでした。しかし
舅の偉大さに気後れもしつつ「負けないぞ!」と張り合う気持ちも
ある杉村、とか、明るいお嬢様がそのまま人妻になったような
その奥さん、とか、探偵役のキャラクターがだんだん立ってくると
ミステリーとしていい感じになってきます。うるさいほどの細かい描写が
効いてくるわけです。じわーっと。しかし、ストーリー自体は
梶田のひき逃げ事故のこと、梶田の過去のこと、性格の違う
姉妹のすれ違い、など、盛りだくさんな割りには薄味かな。
どちらかというと、謎がとけてすっきり系、ではなくて、
色々やりきれないことがあったけれど人生は続く、という感じの
ほろにが系エンディングです。
実際に犯罪を犯した人物よりイヤな登場人物が出てきた場面を読んで、
吉田修一の「悪人」を読んだときみたいに「本当の悪ってなんだろう」と
しばし考え込んでしまいました。



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