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理由 (新潮文庫)

理由 (新潮文庫)
宮部 みゆき
理由 (新潮文庫)
定価: ¥ 900
販売価格: ¥ 900
人気ランキング: 15256位
おすすめ度:
発売日: 2004-06-29
発売元: 新潮社
発送可能時期: 通常24時間以内に発送

家族とは
謎解き=犯人当てを楽しむだけの小説ではない。こんなに被害者や周辺人物の家族事情を細かく掘り下げたミステリー小説も珍しいだろう。三代前辺りまでいちいち遡るのである。それも犯罪とは直接関係のない事情まで、執拗なまでに叙述されている。
東京でコミュニティー=共同体とは会社だろう。すでに居住地は食う寝るだけの機能を果たすのみだ。隣近所もあまり意味の無い存在で、人によっては家族すら共同社会というよりは、なんらかの目的=理由の為に存在する利益社会にすぎない。昔の人は家族の存在「理由」など考えもしなかっただろう。共同体はその存続自体が目的だからだ。家族を拒否し一生独身であろうとする若者が増えているもきく。だが、家族の煩わしさを忌避し、その価値を否定し、個人の欲求追及のための集団とみなしてしまうと、その個人自体が空虚なものと成り、遂には恐るべき自己喪失人間となってしまう。煩わしさはなくなるが、何の喜びも目的も無い空っぽの人間になってしまう。作者はこんなことが言いたいのだろう。
純粋にミステリーを楽しみたい人には無駄な描写だらけの冗長な作品かもしれぬが、この作品のテーマは現代的で極めて切実なものだ。
それにしても「宝井康隆」というネーミングは謎だ。この作品を読んで筒井康隆がどう思ったのか知りたい。

大変よく練られてはいるが…
宮部みゆきの直木賞受賞作。一家4人の惨殺事件の真相を、ルポ形式で外堀からじっくりじっくり攻めていき、核心へと導いていく。事件にかかわるすべての人間にドラマを持たせ、家を持つことの意味、親子のあり方、介護の問題、など社会の抱える問題をさまざまな形で繰り出してくる。この手法は、ミステリー小説としては斬新で、まるで砂山の中央の棒を倒さないようにゆっくり砂を削っていく昔懐かしいゲームをしているかの感があった。
緻密に計算しつくされた秀作であることに間違いはないが、なぜか一気に読める!という書ではなかった。腰を落ち着けて時間のあるときに読む本。

退屈
流行作家の直木賞作品ということで期待を持って読み始めたが、あまりの退屈さに70ページ以降は飛ばし飛ばし読み進んだ。犯罪は様々な理由が折り重なって起こるということを筆者は言いたいのかもしれないが、どうでもいい登場人物の生活や人生が浅くしかも月並みに描かれているだけで、それにこれだけのページを費やす「理由」がとうとう見つからなかった。しかも、子供がみな善で大人が悪といった単純な位置づけは納得できない。また荒川区の超高級マンションという設定も無理がある(荒川区にあるという事実が既に超高級マンションではないことを物語っている)。この作者は長い小説を書く事で知られているが、小説は長ければいいというものではない。あらを探したらきりがないが、改めて直木賞の価値についても考えさせられる作品であった。



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