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眠りの森
東野 圭吾
定価: ¥ 1,264
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おすすめ度:

発売日: 1989-05
発売元: 講談社
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謎解きも面白いが、バレエ団の取材の徹底さが驚き
東野作品に共通な律儀な感じに組み立てられて、堅く結びあわされた謎が、最後のバレエの舞台の進行につれて解けていくところは読んでいてすごく快感だ。
最初の事件と二つ目の事件の関係は何か、登場人物同士の因果関係や利害関係は何かという推理小説の基本的な構成がしっかりできていて、読んでいても小気味よい。しかし、海外での因果関係というような読者には分かりにくい部分に手がかりがあるのは、読者探偵には厳しい。
クラシックバレエにはまったく縁がないが、本書ではひとつのバレエ作品のみならず、バレエ団の運営や、練習風景、バレエダンサーの私生活に至るまで詳しく取材したように見受けられる。作者の人格や作風に合致した印象だ。
登場人物の言葉で次の二つが特に心に残った
「ダンサーは他人との実力差を客観的に捉ええているものなんだ。自分より優れたものがいる時に、その者をおしのけて自分が踊るなんて言うことは本能的にできないんだよ」
「ダンサーは若いときにコンクールでいい成績を取っても、大人になったらまた鍛練を積んで基礎をつくって、今まで若さや子供の体でやっていたことを、大人の体を使って完成された技術によってできるようにすることによってプロになる」
加賀恭一郎がバレリーナの世界にどっぷりつかることになる
美貌のバレリーナが男を殺したのは果たして正当防衛なのか?正当防衛なのか意図した殺しなのかを加賀恭一郎が追及するわけである。バレリーナのストイックさが際だっているなあという感じがします。一日練習をサボるとそれを取り戻すのが大変な世界なんだな。
加賀恭一郎は、真相を追究すると共に美女バレリーナの世界にどっぷりつかることになる。その中でも、浅岡美緒という女性に惹かれることになる。加賀は彼女を温かい視線で見守っているかのようなまなざしをしている。好きと言う気持ちと冷静に事件の真相を追究するという相反する気持ちを持つことになる。好きと言う気持ちが余りにも強すぎると、真実を曇らせることもある。正当防衛ならばいいなあと思っても、だんだんと真実が分かっていくともしかしたらという気持ちがよぎることになる。
本書は、バレリーナという独特の世界観を持つものを取り扱っていることから、ストイックだなとか閉じた世界だなという印象がある。その中でも、哀しい世界観ではあるけれども何か温かさを感じるのは、加賀恭一郎が浅岡美緒を見つめる視線の温かさを感じるからではないだろうか。
バレエが見たくなった
えっ? 東野圭吾とバレエと最初は思いました。でも、おもしろさにひかれて最後まで一気に読んでしまいました。彼のよさは題材より、やはり中身の濃さにあります。『手紙』とはいっぷう変わった展開で、ミステリーと言うよりも、作者独自の小説の展開のおもしろさに、ただただ脱帽しました。読む価値は大いにありです。
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