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シェエラザード〈上〉

シェエラザード〈上〉
浅田 次郎
シェエラザード〈上〉
定価: ¥ 1,680
販売価格:
人気ランキング: 427563位
おすすめ度:
発売日: 1999-12
発売元: 講談社
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戦前に起きたある豪華客船の海難事故の物語
2兆円(という金額のスケールに驚く)の金塊と共に沈んだ豪華客船を引き上げろ。謎の中国人に100億円の融資の依頼を受ける、闇金融会社社長。なんだかとてつもない規模の海洋アドベンチャーが幕を開けるのかと思っていたら、全くもってそういう類の話ではなかった。横浜?サンフランシスコ間を航行するために造られた弥勒丸は、戦時下のもと陸軍に徴用されてしまう。戦争末期にある極秘任務を帯びて東南アジアの各地を巡ることになる。船長を始め関係者一同は何も知らされないままであった。そこにはどんな謎が隠されていたのか。なぜ沈没してしまったのか。「昔」を知る老人たちの重い口が今開かれる。映画「タイタニック」よりもグッと来るモノがあった壮大な悲話。

海の男の誇りに最敬礼・・・
 太平洋戦争の結果として日本の商船隊が保有していた船は500トン以上のクラスで2,259隻が失われ、35,092人の船員の命が奪われました。支那事変からの8年間で見ると戦没船員の数は60,331人になります。
 当時の日本人船員の死亡率は陸海軍人の死亡率を遥かに上回る43%にも達しますが、これは日本政府・軍にシーレーンを守るという発想がなく、軍に徴用された商船が丸腰のまま物資輸送のために敵艦隊が待ち受ける海を独航せねばならないという異常な状況に置かれがちだったためです。
 そんな中でも特に悲劇的だったのは、日本軍占領地帯にいる連合国軍の捕虜に救援・慰問物資を送るべく連合国側から安導券(Safety conduct:安全航行の保障)を与えられた貨客船「阿波丸」が、緑十字旗を掲げて航行していたにもかかわらずアメリカの潜水艦「クイーンフィッシュ」の魚雷攻撃で沈められた事件でしょう。
 浅田次郎さんの小説『シェラザード』はこの「阿波丸撃沈事件」を題材にしたものですが、小説の中での船は「弥勒丸」と呼ばれています。
 物語は戦争中の「弥勒丸」を巡るドラマと、海底に沈んだ「弥勒丸」を引き揚げるために奔走する現代の人々のドラマを並行させてスリリングに進みます。そして、それぞれの状況において様々な人の思いが錯綜する中で、「弥勒丸」は時代を超え、誇りを持って美しく生きることの意味を人々に問い掛けてきます。
 僕にとっても思い入れが強く、是非多くの人に読んでいただきたい作品です。

泣けました・・・
戦争中、米軍の攻撃を受け沈没した弥勒丸。その豪華客船が使われた目的は驚くべきものだった。勝つ見込みのない戦いを続けていた日本。弥勒丸に乗っていた人たちはその犠牲になってしまった。多くの悲劇は、残された人たちの心にも深い傷を与えた。それは何十年経っても決して消えることはなく、彼らを苦しめ続ける。過去と現在が交錯するという形で描かれたこの作品は、読む人に弥勒丸の悲劇をより強烈に印象づける。「その船に乗ってはだめ!」何度もそう叫びたい場面があった。潜水艦隊に包囲され、攻撃・沈没の運命を悟った乗組員たち。彼らの最後まで毅然とした態度は、涙を誘う。「よォそろォー」彼らの声が胸に響いてくるようだ。



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